データ可視化とヴィジュアルアナリティクス研究室

インタラクティブ1なデータ可視化技術2とヴィジュアルアナリティクス3システムについての研究をしています。データ可視化に関連する研究領域は伝統的に以下の三つの研究の柱がありました。

  1. 科学的可視化: 科学研究が対象と現象は物理的な空間に位置付けられ、データは (X, Y, Z) の三次元の空間に配置され、時間とともに変化します。このような時系列データを分析するための可視化技術の研究が科学的可視化です。気象データ、地震のデータ、ロケットエンジン内部の様子、生き物が織り成す生態データなどの可視化がこれにあたります。

    わたしたちの研究室では科学的可視化はてがけていません。

  2. 情報可視化: 人間の関心事は科学的事実だけに留まりあせん。概念やアイデア、文化、技術、事件、話題のような抽象的なものは人間の意思決定を左右します。このような抽象概念は科学的可視化の対象と異なり、物理的な座標軸に据えられていません。自明な可視化というものがありません。このため情報可視化の研究では、抽象的な内容間の関連性、類似性、因果などに応じて適切な配置を考案することがあります。

    つぎのビデオは Wikipedia 日本語版に掲載されている数学関連のページ(全部で3,608ページ項目)のあいだの参照関係を分析して、Wikipedia の数学関係の記事の構造を大掴みに理解しようとしたときの記録です。最初、画面を拡大したり、フィルタを適用しても構造はうかびあがりませんでしたが、数回のブラッシュ操作を経てあっというまに数個のトピックの塊を取り出していることがわかると思います。このシステムで使われている高次元可視化技術のアルゴリズムは高見将則さんが考案し、それを高野陸さんがのちにOpenGLを用いて軽量・高速化しました。

  3. 視覚的分析: 「百聞は一見に如かず」とは言いますが、絵を見ただけで物事が理解できるものではありません。また、複雑な事象について議論するときに、絵を議論の題材とすることはできますが、データから得られる知見はさまざまですし、分析の視点が異なれば独自の発見もあります。視覚的分析では可視化した情報を分析し、整理し、意思決定にまで結びつくまでの過程を支援するシステムを構築します。

    つぎのビデオは細川夏生さんが卒論で実装したシステムを利用して、「北朝鮮について分析しなさい」というお題について、脇田が分析し、結果をまとめたときの記録です。眺めの分析ですが、ビジュアルアナリティクスの実際が見られます。


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  1. 日本語で対話的を意味します。データ可視化においては、コンピュータが提示した出力画像を人間が操作し、それに応じてコンピュータが出力しなおすやりとりを継続する仕組みを指します。 

  2. 複雑なデータを二次元平面、あるいは三次元空間に人間が理解しやすいように提示するための技術です。世の中の多次元構造、時系列性、多面性、多関係性、依存関係、因果関係を低次元に埋め込むためにさまざまな技術が開発されています。 

  3. 視覚的分析ともいいます。応用分野の諸問題の解決をデータ可視化技術を駆使したシステムによって支援するための技術です。